1.工場の熱中症対策義務化は何をすればいい?2025年7月に労働安全衛生規則が改正!

2025年4月15日に労働安全衛生規則が改正され、同年6月1日から施行されています。これまで努力義務だった熱中症対策が罰則付きの義務になりました。以下の2点がポイントです。
● 対象になるのはWBGT(暑さ指数)28以上または気温31℃以上の環境で、1時間以上連続、または1日4時間を超える作業が見込まれる事業場
● 求められるのは「熱中症の疑いがある従業員を早期発見して報告する体制の整備」と「悪化防止措置の事前策定と従業員への周知」の2点
「発生してから考える」では遅く、事前にルールを作って周知しておくことが義務化の趣旨です。対応手順(身体冷却・水分補給・医療機関への連絡など)をあらかじめ決めて文書化し、従業員全員に伝えておく必要があります。あわせて、そもそも熱中症を起こさないための対策も必要となっているのです。
参考:厚生労働省「職場における熱中症対策の強化について(令和7年6月1日施行)」
関連人気記事:暑い外は要注意!熱中症から身を守る方法を徹底解説
2.工場の暑さ対策に使える設備の例
工場の暑さ対策は「熱を外に出す」「外から来る熱を遮る」「特定のエリアを冷やす」の3方向から考えて設備を選びましょう。
● 大型換気扇・工場扇:熱い空気を屋外に押し出す。導入コストが低く、暑さ対策のスタートとして使いやすい
● スポットクーラー:移動式で作業エリアをピンポイントで冷やせるが、排熱の処理場所が必要
● 遮熱シート・遮熱塗料:屋根からの輻射熱をシャットアウトし、工場内の温度上昇そのものを抑える
● ビニールカーテン:空調区画を仕切り、同じ設備でも冷却の効きが上がる
● ミストシステム:気化熱を使ってエリア全体の体感温度を下げる。屋外・半屋外での使用におすすめ
それぞれの設備の特徴を以下で解説します。
①大型換気扇・工場扇で熱気を屋外に排出する
大型換気扇や工場扇は、工場内にこもった熱い空気を屋外に押し出す空調設備です。機械の発熱や作業者の体熱で温まった空気は天井付近にたまりやすく、排気扇でこれを外へ出すだけで体感温度が変わります。
導入コストが低く、工事の規模も小さくて済む点から、工場内の暑さ対策のスタートとして選ばれやすいです。設置するときは以下の2点を確認してください。
● 排気口と吸気口の位置関係:排気した熱気が再び吸気口に入り込まないように配置する
● 吸気側の確保:排気口だけ設けても、吸気が不十分だと風量が出ない
「排気」と「吸気」の両方を設計してはじめて、工場内の空気がスムーズに入れ替わります。必ず両方を確認しましょう。
②スポットクーラーで作業エリアをピンポイントで冷却する
スポットクーラーは特定の作業エリアに冷風を送る移動式の冷却設備です。工場全体を冷やすのは難しくても、人が長時間作業する場所だけをピンポイントで冷やせます。
ただし、スポットクーラーは排熱が出てしまうのが最大のネック。換気扇などとあわせて導入しないと、工場内はかえって暑くなってしまいます。スポットクーラーのみの導入はあまりおすすめしません。
関連人気記事:猛暑時の停電では熱中症に注意!夏の停電時の対策と防災グッズ8選
③遮熱シート・遮熱塗料で屋根からの輻射熱を遮断する
夏の直射日光を受けた金属屋根の触れないほど熱くなることがありますが、その熱が工場内に伝わっているケースがあります。換気や冷却だけでなく、この熱の入り口をふさぐことが暑さ対策のポイントです。
遮熱シートは屋根の裏側に貼り、遮熱塗料は屋根の表面に塗ることで、日光の熱を反射して室内への輻射熱を減らします。結果的に、スポットクーラーや換気扇の電気代を抑えることも可能です。
④ビニールカーテンで空調区画を仕切って冷却効率を上げる
広い工場内で冷やした空気が拡散されてしまうと、どこまでも冷やし続けることになり非効率です。ビニールカーテンで休憩エリアや特定の作業ゾーンを区画すると、その場所だけを集中して冷やせます。
たとえばフォークリフトや台車が通る箇所にはスリット入りのビニールカーテンを使うと、通行のたびに開け閉めする手間なく区画を保てます。既存のスポットクーラーや工場扇と組み合わせるだけで効果が出やすく、コストを抑えながら試せる方法です。
⑤ミストシステムで気化熱を利用してエリア全体の温度を下げる
ミストシステムは細かい霧状の水を噴射し、水が蒸発するときの気化熱でエリアの温度を下げる設備です。打ち水と同じ原理で、屋外や半屋外の作業エリアで効果を発揮します。
電力消費が少ない点がメリットですが、湿度が高いと水が蒸発しにくく効果が出にくいです。換気設備と合わせて使うことで、蒸れを防ぎながら体感温度を下げられます。
3.従業員に配布できる工場の暑さ対策グッズ
設備の導入と並行して個人に配布できる暑さ対策グッズを揃えると、設備だけではカバーしきれない場所・作業による熱中症リスクを下げられます。以下の3種類がコストと効果のバランスが取りやすい暑さ対策グッズです。
● 空調服・冷却ベスト:体に風や冷却材が直接当たることで体感温度を下げ、作業中の発汗ペースを落とせる
● ネッククーラーや冷感タオル:首元を冷やす。太い血管がある首を冷やすと体全体の体感温度が下がりやすい
● 吸汗速乾インナー:汗を素早く吸って逃がし、べたついた状態が続くことで体温が上がり続けるのを防ぐ
まず現場で一番つらいと感じている場所・作業を聞いてから優先順位を決めると、費用対効果が出やすいです。以下で詳しく解説します。
①空調服・冷却ベストで作業中の体感温度を下げる
空調服はウェアに内蔵したファンが外気を取り込んで体の表面に風を送り、汗の蒸発を促して体温を下げる仕組みです。ファンが絶えず回っているため、汗をかいても体温が上がりにくい状態を保てます。
冷却ベストには以下の2タイプがあります。
● 保冷剤・氷タイプ:電源不要で使いやすいが、溶けたら交換が必要
● 電動冷却タイプ:モバイルバッテリーが必要になるが冷却力が高い
空調服のファンバッテリーはUSBで充電できるモデルが多いです。この記事の後半で紹介するポータブル電源を工場内に備えておけば、複数をまとめて充電することもできます。
②ネッククーラーや冷感タオルで首元を冷やす
首には頸動脈が通っており、ここを冷やすと血液が冷えて体全体の体感温度が下がりやすいです。以下のようなネッククーラーや冷感タオルで首元を冷やせるようにしておきましょう。
● ペルチェ式ネッククーラー:電気を通すと冷たくなる「ペルチェ素子」の金属プレートを冷やして肌に当てる
● PCM素材ネッククーラー:特定の温度で固まる蓄冷素材。電源不要で使いやすく、凍らせて繰り返し使える
● 冷感タオル:水で濡らして絞るだけで冷たさが出る。コストが低いので大人数への配布に使いやすい
電気が必要ですが、もっとも効果が期待できるのはペルチェ式ネッククーラーです。ポータブル電源のような充電手段とあわせて用意するとよいでしょう。
③吸汗速乾インナーで汗による不快感と体温上昇を抑える
汗を放置すると衣服がべたつき、体温の調節がうまく働かなくなります。吸汗速乾インナーは汗を素早く外側に逃がして、肌が乾いた状態を保ちやすくする暑さ対策グッズです。
空調服の下に着れば、ファンで送り込んだ風が汗を素早く乾かす効果が上がります。綿素材のシャツより乾きが速く、長時間の作業でも不快感が出にくいのがメリットです。洗い替えを考えて1人2枚以上あると、毎日清潔に使えます。
関連人気記事:外仕事や工事現場におすすめの熱中症対策グッズ10選!作業着の選び方も解説
4.工場の暑さ対策に活用できる補助金・助成金
工場で熱中症対策のための設備投資に使える補助金・助成金を紹介します
|
制度名 |
所管 |
補助率 |
上限 |
主な対象 |
|
エイジフレンドリー補助金(熱中症対策コース) |
厚生労働省 |
1/2 |
100万円 |
60歳以上の労働者を雇用する中小企業 |
|
業務改善助成金 |
厚生労働省 |
最大4/5 |
最大600万円 |
最低賃金を引き上げる中小企業 |
|
SHIFT事業 |
環境省 |
1/3 |
1億〜5億円 |
CO2を大幅削減する設備更新を行う事業者 |
以下で詳しく解説するので、使えそうな補助金があれば詳細をチェックしてみてください。
①エイジフレンドリー補助金|高齢従業員の労働災害防止設備の導入
60歳以上の労働者を常時1名以上雇用している中小企業向けに、労働災害防止のための設備改善費用を補助する制度です。「熱中症対策コース」が暑さ対策設備に使えます。
|
項目 |
内容 |
|
対象 |
60歳以上の労働者を常時1名以上雇用する中小企業 |
|
条件 |
「職場環境改善コース」として申請する |
|
補助率 |
1/2 |
|
上限 |
100万円 |
2026年度の申請期間は5月20日〜10月31日となっています。対象になる設備・グッズの例は以下のとおりです。
● スポットクーラー(排熱を屋外に逃がせるものに限る)
● 空調服・冷却ベストなどの体表面冷却機器
● WBGT(暑さ指数)計測器
申請から交付決定まで約2か月かかります。交付決定の前に発注した設備は補助対象外になるため、申請の順番には注意してください。
参考:エイジフレンドリー補助金
②業務改善助成金|生産性向上につながる設備投資
事業場内の最低賃金を50円以上引き上げたうえで、生産性を高める設備投資をした場合に、設備費用の一部を助成する制度です。3つの補助金のなかで上限額がもっとも大きいです。
|
項目 |
内容 |
|
対象 |
中小企業事業者 |
|
条件 |
事業場内最低賃金を50円以上引き上げ 生産性向上設備への投資 |
|
補助率 |
最大4/5(最低賃金1,050円未満) 最大3/4(1,050円以上) |
|
上限 |
事業所の人数および賃金引き上げ対象の人数、引き上げ額に応じて30万〜600万円 |
スポットクーラー・空調服・冷房付き休憩所の整備なども対象になることがあります。ただし「生産性向上につながる」という観点から申請理由を用意する必要があるため、社会保険労務士や厚生労働省の相談窓口に事前に確認しておきましょう。
③SHIFT事業|省CO2型の高効率冷却設備への更新
環境省が実施する補助金で、工場や事業場のCO2排出量を大幅に減らす設備更新を支援します。暑さ対策では、主に空調機を省CO2型の高効率設備に入れ替えるケースが対象です。
|
項目 |
内容 |
|
対象 |
民間事業者等 |
|
条件 |
CO2を工場・事業場単位で15%以上、または主要システムで30%以上の削減 |
|
補助率 |
1/3 |
|
上限 |
1億〜5億円 |
※2026年6月18日時点の情報です。令和8年(2026年)度分は未確定情報を含みます。最新の情報は環境省の公式サイトでご確認ください。
金額が大きい分、申請に必要な書類や要件が多く、専門家のサポートが必要な制度です。空調設備の更新をきっかけに、工場全体の省エネを進めたい場合に検討してみてください。
参考:環境省「SHIFT事業」
5.工場の「電源届かない問題」はJackery ポータブル電源で解決

工場の暑さ対策で意外と困るのが電源の問題です。Jackery(ジャクリ)の移動できる蓄電池「ポータブル電源」は、コンセントが届かない作業エリアの電源として活躍します。
● スポットクーラーを設置したい場所にコンセントを作る
● 空調服の人数分の充電スポットとして活用する
● 設備工事の完了を待つ間の電源として使う
ポータブル電源なら、大型蓄電池のような大がかりな設置工事は一切不要。導入したその日から使えます。大容量・高出力のモデルを選んでおけば、停電時の工場バックアップとしても活用可能です。Jackeryはポータブル電源の国内年間売上No.1ブランドとして、工場など大規模な用途でも使われる幅広いラインナップを揃えています。暑さ対策に必要な「電源問題」を、Jackeryポータブル電源で解決しましょう。
まとめ
2025年6月施行の法改正で、工場での熱中症対策が義務になりました。換気→遮熱→スポット冷却の順で導入すれば、コストを抑えつつしっかりと暑さ対策できます。「エイジフレンドリー補助金」「業務改善助成金」などの補助金が使えるケースも多いので、うまく活用して暑さ対策を進めていきましょう。
また、工場内のコンセントが届かないエリアにはJackeryのポータブル電源が役立ちます。電源が届かない問題はJackeryポータブル電源で解決し、工場内を快適な空間にしてみてください。
コメント