1.避難所トイレの実態|汚い・女性問題・健康被害のリスク

避難所のトイレの実態を知っておくことが、自分や家族を守るための備えにつながります。詳しく見ていきましょう。
①避難所のトイレは汚い|断水で流せず、あっという間に使用不能になる
日本トイレ研究所のデータによると、阪神淡路大震災・東日本大震災・熊本地震では3人に2人以上が発災後6時間以内にトイレに行きたくなりました。それだけ早く、大量の人が一斉にトイレを必要とします。

ところが大規模な地震が起きると、以下の理由で水洗トイレはほぼ使えなくなるのが実態です。
● 断水でタンクに水が入らない
● 停電によって断水が起きる建物がある
● 排水管・下水処理施設の損傷で流せない
令和6年の能登半島地震では最大で136,440戸が断水し、避難所でもトイレの水が流れない状態が続きました。発災翌日にはすでに多くのトイレが汚物であふれていたと考えられます。一度この状態になると、断水中に元へ戻すのはほぼ不可能。被災者は劣悪な環境のまま使い続けるしかなくなります。
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②女性特有の問題|生理対応・防犯リスクが高い
避難所のトイレ問題は、女性にとってとくに深刻です。
● 生理用品を受け取れない・足りない
● 男女共用のトイレで着替えやケアができない
● 夜間のトイレ移動で防犯リスクが高い
とくにトイレは男性と共同のところもあり、犯罪に気づかれにくい場所です。夜間は必ず複数人で行くことが推奨されています。
また、トイレに行きにくい環境を嫌って水分を控える女性は多く、2016年熊本地震ではエコノミークラス症候群の入院患者のうち78%が女性だったと報告されています。
参考:産経ニュース「エコノミークラス症候群8割が女性…家族の世話、トイレ敬遠で水分不足「負担軽減を」と専門家」
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③トイレ不足で健康被害|災害関連死につながる
汚い・遠い・暗いトイレは、被災者の体に深刻な影響を与えます。トイレに行く回数を減らそうと、水分や食事を控える人が続出するからです。その結果として起きる健康被害は以下のとおりです。
● 脱水症状・慢性疾患の悪化
● エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)
● ノロウイルスなど感染症の集団発生
能登半島地震の仮設住宅入居者を対象とした調査では、避難所でトイレを我慢したことがある人が65.6%にのぼり、体調を崩した経験がある人は29.4%でした。トイレを我慢して水分を控えることが、エコノミークラス症候群などによる災害関連死の一因になっているとも考えられます。
参考:日本トイレ研究所「能登半島地震(能登町)における発災後のトイレ事情調査」
④過去の災害時のトイレ事例|能登半島地震と東日本大震災
トイレ問題は能登半島地震に始まった話ではなく、大きな災害のたびに繰り返されてきた課題です。過去の事例を知っておくことで、自分が備えるべきことが具体的に見えてきます。
能登半島地震(2024年1月)
能登半島地震では、発災翌日にはトイレ問題が深刻化しました。1,000人が避難していたある避難所では、24時間以内に1,000個の大便が発生しましたが、水が流れないためにトイレやその周辺は汚物にまみれる状態になりました。
参考:能登半島地震の被災地の避難所トイレの現状と災害トイレの課題(国立環境研究所)
避難所に設置された仮設トイレのうち85%が和式で、高齢化率が約50%の奥能登においてはニーズのミスマッチも発生。また、仮設トイレの設置日がわかっている10か所のうち、1週間以内に設置されたのは60%で、残り40%は2週間以上かかりました。
東日本大震災(2011年3月)
東日本大震災では、発災から数日間でトイレが排泄物の山になり、劣悪な衛生状態になったところも少なくありませんでした。また、トイレの設置場所が暗い・和式・段差があるなどの問題により、高齢者・障害者・女性・子どもにとって使用しにくい状況が続きました。
また、仮設トイレが避難所に行き渡るまでに4日以上かかった自治体は66%にのぼり、もっとも日数を要した自治体では65日かかったという調査結果があります。

引用:内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」
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2.避難所に設置されるトイレの種類|簡易・仮設・マンホール
避難所には状況に応じた種類のトイレが設置されます。それぞれの特徴を知っておくと、いざというときの不安を減らせるので、種類ごとに確認していきましょう。
①簡易トイレ|組み立て式で避難所内に設置

簡易トイレは組み立て式の便器と便袋がセットになったトイレです。屋内の床に置いて使えるため、体育館など既設トイレがない場所でも設置できます。
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項目 |
内容 |
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設置場所 |
屋内・屋外どちらも可 |
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特徴 |
便器が破損している場合にも使える |
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処理方法 |
使うたびに便袋を交換・廃棄 |
発災直後の数日間、仮設トイレが届くまでのつなぎとして活用されることが多いタイプです。
②仮設トイレ|屋外に設置される和式が多い

仮設トイレは屋外イベントや工事現場向けに開発されたトイレで、車両で運び込んで設置します。災害時にもっとも多く使われるタイプですが、課題も多いです。
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項目 |
内容 |
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設置場所 |
屋外 |
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特徴 |
数百〜数千回の使用が可能 |
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処理方法 |
バキュームカーによる定期くみ取りが必要 |
能登半島地震では、足腰の悪い人から「和式タイプは使いづらい」「ドアまでの段差が高くて上れない」という声も多く聞かれました。
③マンホールトイレ|下水道に直結で衛生的

引用:知立市
マンホールトイレは、マンホールの上に簡易な便座とテントを設置して下水道に直接流すタイプです。断水していても雨水やプールの水を使って排水でき、衛生的に使い続けられます。
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項目 |
内容 |
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設置場所 |
マンホールのある屋外 |
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特徴 |
衛生的・地震に強い |
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処理方法 |
マンホール経由で下水道に直接流せる |
公共施設で事前に備蓄されているケースが多く、整備が進めば避難所での衛生環境を大幅に改善できます。
④トイレトレーラー|移動式の洋式トイレ

トイレトレーラーは、車両にトイレ設備を載せて移動できるタイプです。個室・洗面所・温水洗浄便座を完備したものもあり、被災者から非常に喜ばれています。
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項目 |
内容 |
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設置場所 |
屋外(牽引して移動) |
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特徴 |
洋式・個室・車椅子対応のものもある |
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処理方法 |
車に搭載する汚物タンクに入れて処理 |
普段使い慣れた洋式トイレが使えるだけで、避難生活のストレスが大きく変わるでしょう。
3.携帯トイレの備蓄量と使い方|避難所でどこで使う?
仮設トイレが届くまでの数日間、もっとも頼りになるのが携帯トイレです。汚物などの問題を解決し、安心して排泄するためには、個人が携帯トイレをしっかりと用意するほかありません。どれだけ備えればいいか、どこでどう使うかを事前に知っておきましょう。
①携帯トイレの備蓄量|1人1日5回×7日分=35回分
人が1日にトイレに行く平均回数は5回です。この回数に人数と使う日数をかけた分だけ用意する必要があります。日数については、まずは3日分、可能なら1週間以上備えるのがよいでしょう。
計算すると、1人7日分で35回分が目安です。4人家族では140回分になります。多いと感じるかもしれませんが、能登半島地震では仮設トイレが届くまで1週間以上かかった避難所が半数にのぼりました。多めの備えが安心です。
100均でも購入でき、場所を取らないため今すぐ非常用持ち出し袋に加えておきましょう。
②避難所で携帯トイレを使う場所|個室トイレや車内で使う
携帯トイレは既設の便器に袋をセットして使うのが基本です。避難所での主な使用場所をまとめました。
● 建物内の個室トイレ
● 自家用車の車内
● 簡易トイレの便座にセットして使う
屋外に仮設トイレがある場合でも、夜間の移動が怖い女性や、和式が使えない高齢者にとっては携帯トイレが選択肢になります。使用後の袋はしっかりしばって密封し、指定の場所に廃棄してください。
③携帯トイレの使い方|凝固剤で固めて廃棄
携帯トイレを初めて使う場合でも迷わないよう、使い方の手順を確認しておきましょう。
1. 便器のフチに袋をかぶせてセットする
2. 排泄後、袋に入っている凝固剤を振りかける
3. 凝固剤で排泄物が固まったら袋の口を縛る
4. 二重に袋に入れて廃棄する(※多くの自治体で可燃ごみ扱い)
凝固剤が入っていることで臭いを抑えられ、液漏れのリスクも下がります。一度自宅で練習しておくと、いざというときにスムーズに使えるでしょう。
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4.女性のための避難所トイレ対策

避難所のトイレ環境は、女性にはとくに過酷です。自分でできる備えと行動を知っておくことで、リスクを大幅に下げられます。具体的な対策を見ていきましょう。
①生理用品を備蓄する|最低1ヶ月分
避難所での生理用品の配布は不十分なケースが多く、「ぜいたく品とみなされた」「1人1枚しかもらえなかった」といった声が過去の災害で相次いでいます。避難所に頼らず、自分で持参することが基本です。
● ナプキン:最低1ヶ月分を目安に、可能な限り多めに
● タンポン・月経カップ:普段使いのものでOK
● おりものシート:下着を清潔に保つためにも活用できるので多めにあると◎
衛生用品が不足すると感染症のリスクも高まります。ナプキンを節約した結果、菌が繁殖して骨盤内感染症につながるケースも。多めの備蓄が身を守ることに直結します。
②複数人で明るい時間帯にトイレへ行く|防犯対策に
夜間のトイレ移動はできるだけ避け、行く場合は複数人で動くのが基本です。ただし「2人なら安全」ではなく、3〜4人で行動することが推奨されます。
● 日中・明るい時間帯のうちに済ませるよう意識する
● 夜間は3人以上で一緒に移動する
● 防犯ブザーを携帯する
● 暗がりを一人で歩かない
もし避難所に1人で来ることになってしまった場合は、周囲の女性に声をかけて一緒に行動する関係を早めに作っておきましょう。
③衛生用品を持参する|ウェットティッシュ・消毒液など
水が使えない状況でも、手指や身体を清潔に保てる衛生用品を持参しましょう。
● アルコール消毒液・除菌シート:トイレ後の手指衛生に
● ウェットティッシュ:大判・除菌タイプが使いやすい
● 使い捨てショーツ:洗濯できない日が続くときに使う
● 膀胱炎・デリケートゾーン用の市販薬:トイレに行けない・ムレてしまった場合などを想定して用意する
避難所では水道が使えない期間が続くことがあります。衛生用品は多めに用意しておき、ポーチにまとめて非常用持ち出し袋に入れておきましょう。
5.避難所トイレのガイドライン|国が定める基準
内閣府は2016年に「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」を策定しています。気になる方は国が定めるトイレの基準を確認しておきましょう。興味がない方は、ここを押して飛ばしてください。
①トイレの必要数・配慮の基準
ガイドラインに定められた主な基準は以下のとおりです。
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項目 |
基準 |
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必要数 |
避難者50人あたり1基が目安 |
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高齢者・障害者向け |
洋式・手すり付き・段差なしで使いやすい |
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子ども向け |
補助便座・親子で使えるスペースを確保できる |
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照明 |
夜間も使える照明を個室内および通路に設置 |
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施錠 |
個室は必ず施錠可能なものにする |
ほかにも履物の用意や外国人への掲示など細かい基準が定められています。詳しく知りたい方は「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン(内閣府)」をチェックしてみてください。
②実態は計画を策定していない自治体が多数
基準は定められていますが、実態はかけ離れているのが現状です。NPO法人日本トイレ研究所が全国の自治体を対象に調査した結果、災害時のトイレ確保・管理計画を策定していると答えた自治体は24.1%にとどまり、策定していないが75.9%にのぼりました。

引用:日本トイレ研究所「災害時のトイレの備えに関するアンケート 調査」
つまり行政の備えを待つだけでは不十分です。自分で携帯トイレを備蓄し、避難所のトイレ環境が整うまでの数日間を乗り越える準備が必要になります。
6.断水と同時に発生する可能性大!Jackeryポータブル電源で停電対策を
断水と停電はセットで発生することがほとんどです。停電が続くと、トイレへの道が真っ暗になり夜間の移動が危険になります。また、スマホの充電が切れると、開設中の避難所や避難指示に関する情報を入手できなくなったり、大事な家族や友人との連絡が取れなくなったりします。
そこで一家に1台備えておきたいのが、電気をためて使えるコンセント出力付きのバッテリー「Jackeryポータブル電源」です。ソーラーパネルと組み合わせれば停電が長引いても太陽光で繰り返し充電でき、燃料の調達なしに電気を使い続けられます。断水・停電が数週間続いた能登半島地震のような状況でも、電気を絶やさずに安心の生活を送ることが可能です。Jackeryは7年連続で日本国内の売上高・販売台数1位を記録しているブランドで、実際に能登半島地震のような災害時にも活躍してきました。
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まとめ
避難所のトイレは断水・停電が発生した直後から使えなくなるケースがほとんどで、「数が足りない」「不衛生」という問題は毎回繰り返されています。とくに女性は生理対応・防犯リスク・健康被害の面で影響を受けやすく、携帯トイレや衛生用品の持参が欠かせません。
自治体の備えに頼るだけでは不十分です。1人あたり1日5回×7日分、家族の人数分の携帯トイレを今のうちに非常用持ち出し袋に加えておきましょう。また、災害では断水とあわせて「停電」がつきものです。Jackeryのポータブル電源を揃えて、電気が使えるようにしておきましょう。