1.内水氾濫とは|都市部で起こる排水不良による浸水
内水氾濫は、雨水が排水しきれずに街の中から浸水していく現象です。川の堤防が決壊して外からあふれてくる洪水「外水氾濫」とは、発生の仕組みがまったく異なります。まずは内水氾濫の基本を整理しておきましょう。
①下水道や排水路の処理能力を超えて発生する
内水氾濫は、都市に降った雨が河川などに排水できなくなると発生します。下水道はこの雨水(内水)を排除する役割を担っており、処理能力を超えたときに氾濫が起きます。
ふだんの雨なら、地面に落ちた雨水は以下のルートで河川まで排出されます。
1. 側溝・雨水ます
2. 下水道管
3. ポンプ場
4. 河川
ところが短時間に大量の雨が降ると、このルートが処理しきれなくなってしまうのです。溢れた水は行き場を失い、道路や地面・地下にたまっていく。それが内水氾濫です。
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②川の近くでなくても起こるのが特徴
内水氾濫の最大の特徴は、川から離れた場所でも発生する点です。「うちは川の近くじゃないから大丈夫」は通じません。
東京都の水害被害額を見ると、その80%割が内水氾濫によるものです。

引用:国土交通省「水害対策を考える 都市部で顕在化する内水氾濫」
一方、全国平均では内水による被害額は46%にとどまります。

引用:国土交通省「水害対策を考える 都市部で顕在化する内水氾濫」
堤防の整備が進んだ都市部ほど、内水氾濫が新たな課題になっていると分かるでしょう。
③浸水深が浅く短時間で発生しやすい
内水氾濫はゆっくりと水位が上がっていく外水氾濫と異なり、短時間で急激に状況が変わります。10分前には問題なかった道路が、気づいたら膝まで水につかっていた、というケースも少なくありません。
浸水深は外水氾濫と比べると浅いことが多いですが、油断は禁物です。国土交通省によれば、浸水深が50cmを超えると歩行は非常に困難になります。30cmを超えた時点で車のエンジンも止まってしまう可能性が高く、もはや普通の生活は困難です。また、低地は極端に浸水深が大きくなるリスクもあります。
2.内水氾濫と外水氾濫の違い|発生メカニズムと被害の特徴
内水と外水は、浸水の原因がまったく別です。確認すべきハザードマップも異なるため、どちらのリスクにさらされているかを把握しておくことが大切です。主な違いをまとめました。
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項目 |
内水氾濫 |
外水氾濫 |
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原因 |
大雨などで排水が追いつかなくなる |
河川の堤防決壊・越水による |
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発生場所 |
川の近くでなくても起こる |
主に河川沿い |
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進行速度 |
短時間で急変することがある |
比較的予測しやすい |
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浸水深 |
比較的浅いことが多い |
深くなりやすい |
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参照ハザードマップ |
内水ハザードマップ |
洪水ハザードマップ |
自宅が洪水ハザードマップの浸水区域外でも、内水氾濫のリスクがある場合があります。両方を確認しておきましょう。それぞれの特徴を詳しく見ていきます。
①内水氾濫|雨水の排水が追いつかず内側から浸水
内水氾濫は排水機能が処理しきれない雨水によって街の内側から起きる浸水で、堤防が決壊するわけではないため「何が起きているのか分かりにくい」特徴があります。
最近の内水氾濫の事例として、2019年台風19号における神奈川県川崎市武蔵小杉のタワーマンションの例を紹介します。下水道管が逆流してタワーマンションの地下電源設備が浸水し、停電と断水が1週間以上続く事態となりました。

引用:国土交通省「建築物における電気設備の浸水対策の取り組みについて(報告)」
被害が集中したエリアは、国土地理院の治水地形分類図で「旧河道」に分類される周囲より低い土地。整備されたタワーマンション街でも、土地の成り立ちが水害リスクに直結することを示した事例です。
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②外水氾濫|河川の水が堤防を越えて外側から浸水
外水氾濫は、河川の増水によって堤防が決壊・越水し、大量の水が一気に市街地へ流れ込む現象です。内水氾濫と比べると流れ込む水量・流速ともに大きく、家屋の倒壊や人が流されるような深刻な被害につながりやすくなります。
河川に近い場所ほどリスクが高く、洪水ハザードマップで河川沿いが浸水区域として示されているのはこのためです。2019年台風19号による二子玉川(東京都世田谷区)での溢水は、外水氾濫の典型例といえるでしょう。堤防を越えた多摩川の水が河川沿いの地区に流れ込み、広範囲が浸水しました。
参考:日本経済新聞「多摩川氾濫で浸水『怖かった』 東京・二子玉川」
3.内水氾濫が起こりやすい場所を知っておこう
内水氾濫は、雨水がたまりやすく排水の悪い場所で発生しやすいです。自分の生活圏にリスクの高い場所がないか、チェックしておきましょう。
①低地や窪地|雨水が集まりやすい
周囲より地盤が低い場所は、あらゆる方向から雨水が流れ込んでくるため、内水氾濫のリスクがとくに高いです。「ここは昔から水が出やすい」と言われてきた地域は、地形的にそれだけ低いことを示しています。
2019年台風19号の川崎市武蔵小杉でも、被害が集中したエリアは国土地理院の治水地形分類図で「旧河道」に分類される場所でした。整備されたタワーマンション街でも、地形的な低さが水害リスクに直結することがあります。自宅の土地の成り立ちは、国土地理院の地理院地図(治水地形分類図)で確認可能です。
②地下街や地下駐車場|排水が追いつかず危険
地下空間は構造的に水が流れ込みやすく、一度浸水が始まると急速に水位が上がります。内閣府は地下室のある建物の利用者に「豪雨の際は早めに地上へ避難するよう」周知しています。

大雨警報や記録的短時間大雨情報が出たら、地下空間からの脱出を最優先にしてください。
③アスファルトで覆われた住宅地|雨水が地面に浸透しない
土や草地は、降った雨を地中に浸透させる働きがあります。ところが都市部では道路・駐車場・建物が地面を覆っているため、雨水が地中に浸み込まずそのまま地表を流れます。その結果、下水道への急激な雨水の集中を招き、処理能力を超えやすいのです。
近年、市街地化が進んでいることが内水氾濫リスクを高めている要因の一つとされており、国土交通省も都市化に伴う浸透面積の減少を内水氾濫リスク増大の背景として挙げています。
4.内水氾濫の事前対策|ハザードマップ確認と側溝清掃がカギ
内水氾濫は発生から浸水までが速く、気づいてから行動しても間に合わないことがあります。平時にできる備えを一つずつ進めておきましょう。
①内水ハザードマップで浸水リスクを確認する
まず、自宅や職場の近くに内水氾濫のリスクがあるかを確認しましょう。国土交通省が公開する「重ねるハザードマップ」では、洪水ハザードマップと内水ハザードマップをまとめて確認できます。下記は東京都新宿区の新宿西口駅付近の例で、色分けにより洪水・内水のリスクが示されているとともに、テキストで詳細な注意事項を確認できます。

引用:重ねるハザードマップ
ただし、内水ハザードマップはまだ整備が遅れており、未作成の自治体もあります。「お住まいの市区町村名+内水ハザードマップ」と検索してみましょう。見当たらない場合は、自治体の下水道担当窓口に問い合わせてみてください。
②側溝や雨水ますの詰まりを除去しておく
側溝や自宅前の雨水ますに落ち葉やごみが詰まっていると、降雨時に排水が追いつかず浸水リスクが高まります。梅雨や台風シーズンの前には、自宅周辺の側溝を清掃しておきましょう。
グレーチング(側溝の蓋)を外して、スコップやほうきで泥・落ち葉を取り除くだけで構いません。雨水ますは蓋を開けてごみを取り出し、必要に応じてホースで水を流して詰まりを確認しておくのがおすすめです。
③土のうや止水板を準備する
想定される浸水深が20cmを超える場合は、土のうや止水板でドアや窓からの浸水を防ぐ効果が期待できます。
従来の「砂入り土のう」は重くて扱いにくかったですが、近年は水に浸すだけで膨らむ「吸水土のう」が普及しています。吸水土のうなら、重いものを持つのが大変な高齢者や女性でも対応しやすいです。無料配布する自治体もあるため、事前に確認しておきましょう。
④貴重品は2階以上に移動させておく
浸水が床下・床上に達すると、家電や書類への被害が広がります。水害リスクが高い台風シーズンには、以下のものをあらかじめ2階以上に移動させておくと安心です。
● 通帳・印鑑・権利証などの重要書類
● スマートフォン・パソコンなどの電子機器
● 薬・お薬手帳
● 食料や飲料水などの備蓄品
浸水後は電気系統の感電リスクもあります。ブレーカーの位置を事前に確認し、浸水が始まったら電源を切れるよう準備しておきましょう。
5.内水氾濫発生時の避難方法|垂直避難と早めの行動が重要
内水氾濫は進行が速いため、「水が来てから考える」では遅すぎます。発生時の避難行動のパターンをあらかじめ頭に入れておきましょう。
①浸水が始まる前に避難を開始する
気象庁から大雨警報や記録的短時間大雨情報が出た時点で、自治体の避難情報を確認しながら早めに行動を始めましょう。内水氾濫は発生してからでは避難が危険になるケースがあります。
内閣府では、浸水が始まっている場合の留意事項として以下を挙げています。
● 浸水深が50cmを超える場所での避難行動は危険
● 流速が速い場合は20cm程度でも歩行不可能になる
● 道路上10cm程度でも側溝や用水路に転落するリスクがある
浸水前に避難できない場合は、自宅や近くの頑丈な建物の2階以上に移動する「垂直避難」を選びましょう。
②地下にいる場合はすぐに地上へ避難する|高層階への避難を
地下街・地下鉄・地下駐車場・地下室にいるときに大雨の情報を得たら、すぐに地上へ上がることを最優先にしてください。地下空間は一度浸水が始まると水圧でドアが開かなくなる危険があり、時間的な猶予がほとんどありません。
1999年の福岡6.29豪雨では、地下街への浸水によって地下室に閉じ込められた1名が死亡しています。
参考:国土交通省「大都市の無防備な 地下空間を襲った集中豪雨」
「たいした雨じゃない」と感じても、地下にいる場合は地上の状況が把握できません。情報より先に行動することが身を守ります。すぐに地上へ、そして可能なら高層階へ避難してください。
③マンホールや側溝に注意して移動する
数十cmも浸水すると、もはやマンホールや側溝は目で見ても位置が分かりません。大量の雨水が流れ込むと管内の空気圧でマンホールのフタが浮き上がり、転落してしまうリスクもあります。
歩く際は足元を確認しつつ、傘などで地面をたたきながら移動する方法がおすすめです。ただし水深が膝以上になっていたら無理な移動はやめて、近くの建物に入るか高階層への垂直避難に切り替えましょう。
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6.内水氾濫の長期避難に備える!Jackeryポータブル電源で電源の不安を解消

内水氾濫が厄介なのは、街が冠水することで「外に出られなくなる」点にあります。避難所に行きたくても周囲の道路が水没して行けない。物資が届かない。数時間、ひどいときには数日間、自宅に閉じ込められたまま停電も重なる。これが内水氾濫の最悪のシナリオです。
こうした「在宅孤立状態」を乗り越えるポイントは、インフラに依存せずに電力を確保できるようにしておくことです。Jackery(ジャクリ)のポータブル電源は、蓄えた電力を家庭用コンセントと同じ形で出力できるため、道路が冠水して外に出られなくても自宅で生活を続けられます。
● 冷蔵庫に給電して食料の腐敗を防ぎ、備蓄してある食材を数日間維持できる
● IHコンロや電子レンジで普段通りの調理ができる。カセットコンロのガス切れも心配しなくて済む
● ノートパソコンを動かしてリモートワークを続けられ、収入が途絶えるのを防げる
● スマホの充電を維持して外部との連絡と情報収集を絶やさない
● 照明器具に給電して、停電の夜でも安全に室内を動ける
Jackeryのポータブル電源は独自技術によってバッテリーの自然放電を徹底的に抑える仕組みを採用しています。一切普段使いしていなくても、いざというときにバッテリーほぼ満タンの状態で使えるのがポイントです。7年連続で日本国内の売上高・販売台数1位の実績もあり、安心して停電対策として活用いただけます。
今年の大雨シーズンが来る前に、製品ページで詳細をチェックして、あなたの家族構成や使い方に合った1台を備えておきましょう。
まとめ
内水氾濫は排水が追いつかずに街の内側から起きる浸水で、川の近くでなくても発生します。東京都では水害被害額の約8割が内水氾濫によるもので、都市に住む人にとっては外水氾濫と同じくらい身近なリスクです。
発生が速く浸水が始まってからでは手遅れになる場面もあるため、ハザードマップの確認・土のうや止水板の準備・避難ルートの把握は大雨シーズン前に済ませておきましょう。また地下にいるときに大雨情報が出たら、まず地上へ。水が見えてから動くのでは遅すぎます。
そして「外に出られなくなったとき」の備えとして、Jackeryのポータブル電源を今のうちに一台準備しておくのがおすすめです。停電が重なる在宅孤立の状態でも、電力さえあれば生活は続けられます。