長周期地震動をわかりやすく解説|階級の意味と高層階での備え方

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2011年の東日本大震災では、震源から約770km離れた大阪の55階建てビルが約10分間揺れ続け、震度3にもかかわらず天井損傷やエレベーターの閉じ込め事故が発生しました。原因は、高層ビルと共振しやすい「長周期地震動」です。

参考:日本経済新聞|東日本大震災の長周期地震動 大阪のビルも被害

この記事では、長周期地震動の仕組みや4段階の「長周期地震動階級」の意味、高層階でできる対策まで解説します。とくにタワマンや高層オフィスで過ごす時間が多い方はご一読ください。

目次
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1.長周期地震動とは|周期が長くゆっくりとした大きな揺れ

長周期地震動とは|周期が長くゆっくりとした大きな揺れ

大きな地震が発生すると、ガタガタと激しく揺れる通常の揺れに加えて、ゆらゆらと船に乗っているような独特の揺れが起こることがあります。これが「長周期地震動」と呼ばれる現象です。英語では「long-period ground motion」(略称:LPGM)と表記されます。

長周期地震動の仕組みや特徴を理解し、万が一に備えて対策しましょう。

①周期1.6〜7.8秒の地震動を「長周期地震動」という

周期とは、揺れが1往復するのにかかる時間のことです。気象庁では、周期1.6秒から7.8秒の揺れを「長周期地震動」として観測対象にしています。

参考:気象庁|長周期地震動階級および長周期地震動階級関連解説表について

一般的な地震による揺れは周期0.2〜1秒程度で、小刻みにガタガタと揺れるのが特徴です。一方、長周期地震動は数秒かけてゆっくり大きく揺れるため、高層ビルの上層階では「酔いそうになる」「まるで船の上にいるようだ」と表現されることもあります。なお、揺れの周期が長いほど、高い建物に影響を与えやすいです。

②震源から数百km離れた場所でも大きく揺れることがある

長周期地震動には、遠くまで伝わりやすい性質があります。通常の地震波は震源から離れるほど弱まっていきますが、長周期の波は減衰しにくく、数百km先まで到達するのが特徴です。

2011年の東日本大震災では、震源から約400km離れた東京都心の高層ビル群がゆらゆらと大きく揺れ続けました。さらに、約770km離れた大阪でも高層ビルで被害が発生しています。「震度が小さいから大丈夫」とは言い切れないのが、長周期地震動の怖さです。

参考:気象庁|長周期地震動による被害

③長周期地震動階級とは|4段階で揺れの大きさを表す

気象庁は、長周期地震動による高層ビル内での揺れの大きさを4段階の「長周期地震動階級」で表しています。長周期地震動階級は、高層ビル内での人の行動困難さや家具の移動・転倒の程度から区分されたもので、概ね14〜15階建て以上の高層ビルを対象とした指標です。通常の震度階級は地表付近の揺れを示すため、高層ビルの上層階で感じる揺れとは一致しないことがあります。

各階級の揺れの程度と想定される状況をまとめました。

階級

揺れの程度

人の体感・行動

室内の状況

1

やや大きな揺れ

室内にいるほとんどの人が揺れを感じる

ブラインドなど吊り下げ物が大きく揺れる

2

大きな揺れ

物につかまりたいと感じる。歩行が困難

キャスター付き家具がわずかに動く

3

非常に大きな揺れ

立っていることが困難

固定していない家具が移動。不安定な物は転倒

4

極めて大きな揺れ

立っていられず、這わないと動けない

固定していない家具の大半が移動し、倒れる物も

目安として階級3以上では、間仕切壁にひび割れや亀裂が入る可能性もあります。階級4に達すると、揺れに翻弄されて身動きが取れなくなり、固定していない家具のほとんどが動いたり倒れたりする危険な状態に。迅速な避難や事前の対策が欠かせません。

参考:気象庁|長周期地震動階級および長周期地震動階級関連解説表について

関連記事:縦揺れと横揺れどちらが危険?地震の揺れ方と備えるべき対策

④「緊急地震速報」にも長周期地震動階級が追加されている

気象庁は2023年2月1日から、緊急地震速報の発表基準に長周期地震動階級を追加しました。「長周期地震動階級3」以上が予測された場合、震度5弱以上の予測と同様に緊急地震速報(警報)が発表されます。

一方、長周期地震動階級1以上が予想された場合には、緊急地震速報(予報)の発表対象となります。警報は「発生がほぼ確定している」際に出るもので、予報は「発生が予想される」場合に出るものです。

高層ビルで働く方やタワーマンションに住んでいる方は、緊急地震速報を受け取ったら、長周期地震動による揺れにも警戒しましょう。

参考:気象庁|緊急地震速報(警報)及び(予報)について

2.長周期地震動の特徴|短周期地震動との違い

地震の揺れには「短周期地震動」と「長周期地震動」の2種類があり、それぞれ影響を受ける建物が異なります。両者の違いを理解しておけば、自分が住んでいる建物や職場でどのような備えが必要か判断しやすくなるはずです。以下で詳しく解説します。

①短周期地震動は低い建物に影響する

短周期地震動とは、周期2秒以下の小刻みな揺れのことです。ガタガタと激しく揺れる一般的な地震のイメージに近い揺れで、おもに木造住宅や低層マンションに大きな影響を与えます。

建物には「固有周期」と呼ばれる揺れやすい周期があり、低い建物ほど固有周期が短くなる傾向があります。地震波の周期と建物の固有周期が近いと「共振」が起こり、揺れが増幅される仕組みです。そのため、短周期地震動では低層の建物が大きく揺れやすくなります。

関連記事:マンションで地震が起きても避難は不要?避難方法と身を守る4つの行動を解説

②長周期地震動は高層階で激しく揺れる

高層ビルやタワーマンションは固有周期が長く、長周期地震動と共振しやすい性質を持っています。共振が起こると揺れが何倍にも増幅され、低層階では感じられないほどの大きな揺れが高層階を襲います。

たとえば、東日本大震災の際、東京都内の新宿センタービルでは最大1.08mほどの揺れが最長13分間も続いたと報告されています。

参考:朝日新聞|新宿センタービル、13分揺れた 国の耐震基準強化へ

高層階では大型の家具が大きく移動したケースもあり、低層階とはまったく異なる被害が発生しました。高層階に住んでいる方や働いている方は、通常の地震対策に加えて長周期地震動への備えが欠かせません。

3.長周期地震動による過去の被害事例

長周期地震動が注目されるようになったのは、2000年代以降に起きた大規模地震がきっかけです。過去の被害事例を知ることで、長周期地震動の危険性をより具体的にイメージできるでしょう。

①2003年十勝沖地震|苫小牧市の石油タンク火災

2003年9月26日、北海道十勝沖を震源とするM8.0の地震が発生しました。震源から約250km離れた苫小牧市では震度5弱を観測しています。震度だけを見ると大きな被害が出る数値ではないように思えますが、苫小牧市の石油タンクでは、浮き屋根が最大3mも上下に揺動し、石油があふれ出て引火する火災事故が発生しました。

原因は石油タンク内の液体が長周期地振動の揺れと共振し大きく波打つ「スロッシング」と呼ばれる現象です。地震から2日後には全面火災に発展しています。震度の数値からは想像できないほどの被害が出た事例として、長周期地震動の危険性を世に知らしめた地震です。

参考:気象庁|平成15年(2003年)十勝沖地震

②2011年東日本大震災|震源から約770km離れた大阪府の55階建て咲洲庁舎で大きな揺れ

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)では、M9.0という巨大地震により広範囲で長周期地震動が発生しました。

震源から約770km離れた大阪市住之江区にある55階建ての咲洲庁舎(高さ256m)では、震度3にもかかわらず約10分間揺れ続け、最上階付近の揺れ幅は最大約2.7mに達しました。天井の落下や床の亀裂など多くの損傷が損傷し、エレベーター全32基中26基が緊急停止しています。震度3という数値からは想像できない被害が発生した事例です。

参考:日本経済新聞|東日本大震災の長周期地震動 大阪のビルも被害

関連記事:日本の大地震ランキング|大きな地震はいつ起こる?震災への備え方

4.長周期地震動への対策|高層階でできる3つの備え

長周期地震動への対策|高層階でできる3つの備え

長周期地震動による被害を最小限に抑えるには、事前の備えが欠かせません。高層階に住んでいる方や働いている方が今すぐ実践できる対策を紹介します。

①家具を固定して転倒・移動を防ぐ

長周期地震動では、高層階ほど揺れが大きくなります。家具の転倒防止には、L字金具やつっぱり棒を使って壁や天井に固定する方法が効果的です。

キャスター付きの家具は想像以上に動くため、キャスターをロックするか、下皿やストッパーで固定しておきましょう。冷蔵庫やテレビなど重量のある家電も、専用の転倒防止器具で固定しておくと安心です。

高層階では横への移動距離が大きくなるため、低層階よりも念入りな対策が必要になります。

関連記事:100均でできる!家具転倒防止の簡単DIY|賃貸でも安心の耐震対策

②エレベーター停止を想定した避難経路を確認する

長周期地震動が発生すると、多くのエレベーターが安全装置の作動により緊急停止します。

高層階に住んでいる場合、エレベーターが使えない状況を想定して、非常階段での避難経路を事前に確認しておきましょう。避難時に必要な持ち出し品は、すぐに手に取れる場所に準備しておくと安心です。また、地震発生時にエレベーター内にいた場合は、すぐにすべての階のボタンを押して最寄り階で降りてください。

関連記事:地震でエレベーターが停止!閉じ込めを防ぐ耐震強化対策と4つの対処法を解説

③停電に備えてポータブル電源を用意する

大規模地震では、送電設備の損傷や安全装置の作動により停電が発生するリスクがあります。高層階では水道もポンプで汲み上げているため、停電すると断水になるケースも。エレベーターが動かない状態で階段を使って物資を運ぶのは現実的ではないため、停電に備えた準備が欠かせません。

コンセントが使える持ち運び式の蓄電池「ポータブル電源」があれば、停電時でもスマートフォンの充電、照明の確保が可能になります。出力の大きいモデルなら、調理器具や冷暖房機器を使用することも可能です。

とくに高層階では復旧まで時間がかかることも想定されるため、数日間は自力で生活できる備えをしておきましょう。

5.長周期地震動は停電リスク大!Jackeryポータブル電源で対策を

長周期地震動は停電リスク大!Jackeryポータブル電源で対策を

長周期地震動を伴う大規模地震では、広域で長時間の停電が発生する可能性があります。高層階に住んでいる場合、エレベーターが使えない中で物資を調達するのは困難です。停電への備えとして、持ち運べる蓄電池「ポータブル電源」を導入してみてはいかがでしょうか。ポータブル電源があれば、停電時でも以下のような使い方ができます。

 スマートフォンを充電して家族との連絡手段や情報収集手段を確保する

 LEDランタンや照明を点けて夜間の安全を守る

 電気ケトルでお湯を沸かして温かい飲み物やカップ麺を作る

 扇風機やヒーターで暑さ・寒さをしのぐ

 小型冷蔵庫を動かして食品や医薬品の鮮度を保つ

Jackeryは世界累計700万台以上の販売実績を持つポータブル電源ブランドです。安全性の高いリン酸鉄リチウムイオン電池を採用し、10年以上使える長寿命設計で防災備蓄に最適。ソーラーパネルとセットの「Solar Generator」シリーズなら、停電が長期化しても太陽光で繰り返し充電できます。万が一に備えて、今日からできる対策を始めてみてください。


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6.長周期地震動に関するよくある質問

長周期地震動に関するよくある質問と、その回答をまとめました。

①長周期地震動は何階以上で影響がある?

気象庁は、長周期地震動階級の対象を「概ね14〜15階建て以上の高層ビル」としています。目安として建物の高さが約60mを超えると、長周期地震動の影響を受けやすくなる傾向があります。

参考:気象庁|【よくある質問】緊急地震速報の発表基準の変更について

ただし、建物の構造や地盤の特性によっても揺れ方は異なるため、「何階以上なら危険」と一概には言えません。10階程度でも長周期地震動の影響を受けるケースはあり、同じ階数でも建物によって揺れ方は違います。高層階に住んでいる方や働いている方は、階数に関わらず対策をしておくと安心です。

②免震建物でも長周期地震動の影響を受ける?

免震建物は、建物と地盤の間に免震装置を設置して揺れを軽減する構造ですが、長周期地震動と共振するリスクがあるため注意が必要です。オフィスが免震建物であっても、油断せずに対策しましょう。

③南海トラフ地震でも長周期地震動は発生する?

内閣府の報告によると、南海トラフ沿いで最大クラス(M9程度)の地震が発生した場合、おもに東京・名古屋・大阪の三大都市圏で大規模な長周期地振動が想定されています。揺れの継続時間は、大阪市や神戸市の沿岸部で400秒以上と推計されています。 

引用:内閣府防災情報のページ|特集1 長周期地震動への備え~南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動の影響とは?

南海トラフ地震は30年以内に70〜80%の確率で発生するとされているため、高層階に住んでいる方は今から備えておかなければいけないでしょう。

④長周期パルスと長周期地震動の違いは?

長周期パルスは、直下型地震などで発生する短時間の大きな揺れのことです。震源近くで強く現れ、1〜2回の大きな揺れで建物に衝撃を与えます。一方、長周期地震動は海溝型の大規模地震で発生し、数分〜十数分にわたってゆっくり揺れ続けるのが特徴です。

どちらも高層建築物に被害をもたらす可能性がありますが、長周期パルスには「強い揺れへの対策」が、長周期地振動には「長い揺れへの対策」が必要となります。

⑤能登半島地震で長周期地震動はあった?

2024年1月1日に発生した能登半島地震(M7.6)では、長周期地震動階級4が石川県能登地方で観測されました。緊急地震速報でも長周期地震動階級の情報が発表されています。

能登半島地震は内陸の活断層による地震でしたが、M7.6という規模の大きさから長周期地震動が発生しました。海溝型の巨大地震だけでなく、内陸の大規模地震でも長周期地震動は起こりうることを示した事例です。

参考:気象庁|長周期地震動階級1以上を観測した地震

関連記事:地震のクイズで防災知識を簡単にチェック!レベル別問題【答え付き】

まとめ

長周期地震動は、大規模地震で発生するゆっくりとした長い周期の揺れで、高層ビルやタワーマンションに大きな影響を与えます。震源から数百km離れた場所でも被害が発生することがあり、震度の数値だけでは危険性を判断できません。高層階に住んでいる方や働いている方は、家具の固定や避難経路の確認、停電への備えを今のうちに進めておきましょう。

とくに「停電対策」としては、ポータブル電源の準備がおすすめです。Jackeryのポータブル電源なら、ソーラーパネルと組み合わせることで長期間の停電にも対応できます。南海トラフ地震への備えとして導入しておきましょう。

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