1.災害拠点病院とは?災害医療の中核を担う病院の役割を簡単に解説

災害拠点病院は災害医療の中核として全国に整備されている医療機関です。災害拠点病院の特徴は、以下の3点が挙げられます。
- 大規模災害時に重症・重篤な傷病者を24時間体制で受け入れる中核医療機関である
- 阪神・淡路大震災を教訓に1996年に制度化された
- 役割は傷病者の受け入れ・DMAT派遣・広域搬送の3つである
具体的な役割を詳しく解説します。
①災害拠点病院は大規模災害時に重症患者を受け入れる中核医療機関
災害拠点病院は地震や津波などの大規模災害が発生したとき、重症・重篤な傷病者を受け入れて治療する医療機関です。厚生労働省は、災害時に多発する重篤な患者の救命医療を実施する拠点に位置づけています。
災害拠点病院の主な役割は、以下のとおりです。
- 平常時は救命救急センターや地域の中核病院として救急医療を担う
- 災害発生時は通常の医療体制から災害対応体制へ切り替え、重症・重篤な傷病者を受け入れる
- 一般の病院が被災して診療を継続できなくなった場合、受け皿として医療を提供する
大規模災害では建物の倒壊や火災によって短時間に多数の負傷者が発生し、通常の医療体制だけでは対応が難しくなるケースがあります。どのような状況でも高度な救急医療を継続して提供できるよう、災害拠点病院が全国に整備されています。
参考:厚生労働省「災害医療」
②災害拠点病院の制度はいつから?阪神・淡路大震災の教訓をもとに制定
災害拠点病院の制度は、1996年(平成8年)に始まりました。きっかけは前年に発生した阪神・淡路大震災です。
当時は病院自体が被災し診療機能を失うケースが相次ぎ、助かるはずの命が失われる「防ぎ得た災害死」の問題が深刻化しました。大災害の教訓を踏まえ厚生省(現在の厚生労働省)が都道府県に災害時も医療を提供し続けられる病院の整備を求めたことで、制度が開始されています。
整備は全国へ広がり、現在ではすべての都道府県に災害拠点病院が置かれました。その後も東日本大震災や熊本地震などの経験を経て指定要件は見直されており、制度は今も進化を続けています。
③災害拠点病院の主な役割|傷病者受け入れ・DMAT派遣・広域搬送の拠点
災害拠点病院が担う役割は、大きく分けて次の3つです。
- 重症・重篤な傷病者の受け入れと治療
- DMAT(災害派遣医療チーム)の保有と派遣
- 広域医療搬送への対応
DMATとは発災からおおむね48時間以内の急性期に活動する、専門的な訓練を受けた医療チームです。医師・看護師・業務調整員で構成され、被災地での救命活動や病院支援にあたります。
また、被災地内だけでは対応が難しい重症患者は、自衛隊機などを活用して被災地外の病院へ搬送する必要があります。広域医療搬送の対応も災害拠点病院の役割の一つです。
さらに地域の医療機関へ応急用の資機材を貸し出すなど、後方支援の窓口の役割も担っています。
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2.基幹災害拠点病院と地域災害拠点病院の違い

災害拠点病院には「基幹」と「地域」の2種類があります。基幹災害拠点病院と地域災害拠点病院の特徴は以下のとおりです。
- 基幹災害拠点病院は都道府県全体を統括する司令塔で、都道府県ごとに原則1か所以上が指定される
- 地域災害拠点病院は二次医療圏ごとに置かれる、住民にとって身近な拠点である
カバーする範囲と機能の違いを解説します。
①基幹災害拠点病院とは|都道府県全体をカバーする中核病院
基幹災害拠点病院は都道府県全体の災害医療をまとめる病院です。原則、各都道府県に1か所以上指定されています。大学病院や県立の中核病院が指定されるケースが多く、東京都や愛知県のように2院体制を取る都道府県もあります。
地域災害拠点病院の機能に加え、災害医療に携わる要員の訓練・研修を実施する機能を備える点が特徴です。平常時から研修会や合同訓練を主催し、県内全体の災害に対応する力を高める役割を担います。
発災時には県内の災害拠点病院との連携を図り、DMATの派遣調整や医療情報の集約などを担う中核的な役割です。さらに、行政の災害対策部門と連携しながら、県全体の医療資源を動かす立場でもあります。
②地域災害拠点病院とは|二次医療圏ごとに指定されている地域の拠点
地域災害拠点病院は、二次医療圏ごとに原則1か所以上指定されている地域の拠点です。圏域内で発生した重症患者の受け入れや、近隣医療機関への支援が主な任務です。基幹災害拠点病院と比べて施設数が多く、住民の生活圏に近い場所へ配置されています。
なお、二次医療圏とは入院医療を提供する単位として都道府県が定める地域区分で、多くは複数の市区町村で構成されます。圏域の人口や地理的条件は地域によって異なるため、複数の病院が指定されている地域もあります。
災害への備えに、お住まいの医療圏ではどの病院が指定されているか調べておくと安心です。
3.災害拠点病院の指定要件を詳しく解説

災害拠点病院に指定されるには、国が示す以下のような要件を満たすことが必要です。
- 災害拠点病院を指定するのは都道府県で、厚生労働省が通知で示す要件に基づいている
- 運営体制の要件は24時間対応・DMAT保有・定期訓練などが含まれる
- 施設・設備の要件は耐震構造・自家発電・3日分の備蓄などが必須である
- 看護師は災害支援ナースやDMATの一員として活躍している
指定要件について一つずつ解説します。
①災害拠点病院を指定する機関は都道府県|厚生労働省の通知に基づき指定
災害拠点病院を指定する機関は都道府県です。厚生労働省が通知で示す指定要件に基づき、都道府県が地域の状況を踏まえて指定します。
指定を受けたい病院が申請し、都道府県が要件への適合を審査する流れが多いです。指定要件は大規模災害のたびに見直されており、近年は業務継続計画(BCP)の策定が必須となりました。
BCPとは災害時に診療を続けるための優先業務や手順を定めた計画です。策定後は、計画に沿った研修や訓練を実施する必要があります。
要件を満たせなくなった病院は指定を解除される場合もあるため、各病院は継続的な体制の整備が必要です。
②運営体制の指定要件|24時間対応・DMAT保有・定期的な訓練の実施
運営体制に関する主な要件は以下の内容が挙げられます。
- 24時間365日の緊急対応と傷病者の受け入れ体制
- DMATの保有と派遣体制の整備
- 定期的な災害対応訓練の実施
- 広域災害救急医療情報システム(EMIS)への参加と入力訓練
EMISとは、災害時に病院の被災状況や受け入れ可否を全国で共有するシステムです。
地域の医療機関や行政と連携した訓練への参加も要件に含まれています。
③施設・設備の指定要件|耐震構造・自家発電・水や医薬品の備蓄
施設・設備の要件で代表的なのは、次の5つです。
- 大きな揺れでも診療を続けられる耐震構造
- 通常時の6割程度の発電容量を持つ自家発電機と3日分程度の燃料
- 受水槽や井戸などによる3日分の水の確保
- 医薬品・食料の3日分の備蓄
- ヘリコプターの離着陸場や衛星電話などの通信手段
備蓄は入院患者に加え、職員の分まで見込んで準備する必要があります。また、ヘリコプターの離着陸場は原則として敷地内か近接地に確保が必要です。さらに、発電機や備蓄品は平時からの点検と定期的な入れ替えも欠かせません。
さまざまな要件は停電・断水・通信途絶が同時に起きる大規模災害を想定し、ライフラインが途絶えても医療を続けられる備えが徹底されています。
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④災害拠点病院で働く看護師の役割|災害支援ナースやDMAT看護師として活躍
災害拠点病院では、看護師もさまざまな場面で活躍しています。
代表例が災害支援ナースです。災害支援ナースとは被災した医療機関などへ派遣され、看護支援にあたる研修を受けた看護師を指します。
2024年度からは災害支援ナース制度が医療法に位置づけられ、都道府県と医療機関の協定に基づく公的な仕組みとなりました。また、DMATの一員として発災直後の被災地で活動する看護師もいます。
平常時には院内の防災教育や訓練の企画に携わり、災害看護の知識を組織へ広げる役割も担います。災害医療に関心のある看護師にとって、災害拠点病院は専門性を高められる職場です。
4.【都道府県別一覧】東京・北海道・愛知県など主要エリアの災害拠点病院を紹介

全国の災害拠点病院は、厚生労働省の一覧や各都道府県のホームページで公開されています。
- 全国の災害拠点病院は790施設(基幹63・地域727)
- 東京都は84施設で全国最多、基幹は広尾病院と災害医療センターの2院
- 北海道は34施設、基幹は札幌医科大学附属病院の1院
- 愛知県は40施設、基幹は藤田医科大学病院と愛知医科大学病院の2院
- 主要な都道府県には原則1箇所以上あるが、神奈川県のように基幹病院が設置されていない県もある
施設数は指定の見直しで変わるため、目安として参考にしてください。
①全国の災害拠点病院は約790施設|基幹病院と災害拠点病院の内訳
全国の災害拠点病院は約790施設です。内訳は都道府県全体を統括する基幹災害拠点病院と、二次医療圏ごとに指定される地域災害拠点病院に分かれます。
基幹災害拠点病院は各都道府県に1〜2施設程度のため、全体の大半を占めるのは地域災害拠点病院です。阪神・淡路大震災の翌年に整備が始まって以降、施設数は段階的に増え続けてきました。
指定は毎年更新され、最新の施設数や病院名は厚生労働省が公開する一覧で確認できます。
②東京都の災害拠点病院|都内に80施設以上、基幹は2院
東京都の災害拠点病院は84施設で、全国最多です。基幹災害拠点病院は次の2院が指定されています。
- 東京都立広尾病院(渋谷区)
- 国立病院機構災害医療センター(立川市)
広尾病院は区部、災害医療センターは多摩地域に位置し都全域をカバーする配置です。立川の災害医療センターはDMATの研修拠点として国内の災害医療をけん引する施設です。地域災害拠点病院を含む全施設の一覧は、東京都のホームページで公開されています。
また、東京都は独自に「災害拠点連携病院」も指定しており、中等症患者の受け入れ先を分ける形で役割分担を明確にしています。人口が集中する都市部ならではの災害医療体制です。
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③北海道の災害拠点病院|基幹病院1院を含む34施設
北海道の災害拠点病院は34施設で、基幹災害拠点病院は札幌医科大学附属病院(札幌市)の1院です。広大な北海道では、旭川や函館など各地の医療圏に地域災害拠点病院が配置されています。
2018年の北海道胆振東部地震で全域停電を経験しており、寒冷地の冬を見据えた電源確保の備えも強化が進んでいます。道内の全施設は、北海道医療計画のページで確認可能です。
参考:北海道「北海道医療計画」
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④愛知県の災害拠点病院|基幹病院2院を含む40施設
愛知県の災害拠点病院は40施設で、基幹災害拠点病院は次の2院が指定されています。
- 藤田医科大学病院(豊明市)
- 愛知医科大学病院(長久手市)
いずれも高度医療と人材育成の機能を持つ大学病院です。
愛知県は南海トラフ地震で大きな被害が想定される地域のため、沿岸部から内陸部まで拠点の整備が進められています。津波の浸水想定や帰宅困難者の発生を見据え、行政・消防・医療機関が連携した訓練も定期的に実施されています。
製造業が集まっている県であり、企業と連携した防災の取り組みがされている点も特徴です。
参考:愛知県「災害拠点病院 」
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⑤その他主要エリア(神奈川・千葉・埼玉・大阪など)の施設状況
その他の主要エリアにおける基幹災害拠点病院は次のとおりです。
- 埼玉県|川口市立医療センター、さいたま赤十字病院、埼玉医科大学総合医療センター
- 千葉県|医療法人鉄蕉会亀田総合病院、日本医科大学千葉北総病院、総合病院国保旭中央病院、国保直営総合病院君津中央病院、千葉県総合救急災害医療センター
- 大阪府|大阪府立急性期・総合医療センター
神奈川県には基幹の指定がなく、36の地域災害拠点病院で体制を組んでいます。
各県の全施設は、厚生労働省の全国一覧や各県のホームページで調べることが可能です。
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5.災害時の在宅避難に備えてJackeryポータブル電源で停電対策をしよう

災害時にけがのない人や自宅に被害のない人には、避難所ではなく自宅で過ごす「在宅避難」が推奨されています。在宅避難が広がれば避難所の混雑が緩和され、災害拠点病院も重症患者の治療に集中できます。
在宅避難で課題となるのが停電対策ですが、ポータブル電源があれば停電中でも次のような使い方が可能です。
- スマートフォンを充電して安否確認や情報収集を続ける
- 照明をつけて夜間も安全に過ごす
- 冷蔵庫を動かして食材や薬を保存する
- 電気毛布や扇風機で暑さ・寒さをしのぐ
Jackery(ジャクリ)はポータブル電源の国内販売台数で7年連続No.1を獲得しているメーカーです。防災安全協会に認証された製品や最長5年の長期保証など、安心して長く使える体制が整っています。容量のラインナップもさまざまで、家族構成に合わせて選べる点も魅力です。
Jackeryのポータブル電源を用意して、災害時に安心して過ごせるように準備しておきましょう。
まとめ
災害拠点病院は、大規模災害時に重症患者の受け入れやDMATの派遣を担う中核医療機関です。都道府県全体を統括する基幹災害拠点病院と二次医療圏ごとの地域災害拠点病院を合わせ、全国に約790施設が整備されています。
地域の災害医療体制を知ることは、家庭の防災を見直すきっかけにもなります。在宅避難への備えとして、Jackery(ジャクリ)のポータブル電源で停電対策を整えておきましょう。