1.日本の台風対策|国と地域で進む取り組み

台風への備えは個人の対策だけでなく、国や自治体、地域コミュニティが長年積み上げてきた仕組みが土台になっています。
● 気象庁の台風進路予報は数値予報技術の向上によって精度が上がり続けており、2023年以降は5日先の予報円が最大40%小さくなった
● 国土交通省は堤防・ダムだけでなく「流域全体で水害を減らす」という考え方の流域治水プロジェクトを全国109ヶ所で展開している
● 地域の自主防災組織は約167,722組織が全国に存在し、台風前の声かけや避難誘導などお役所や消防が届かないときを補う役割を担っている
こうした仕組みを知っておくと、台風情報の見方や地域での動き方も変わってきます。
台風接近時に取るべき行動や命を守るポイントは、こちらの記事でも詳しく解説しています。
①気象庁と国土交通省が推進する台風の観測・予報精度の向上
台風の進路予報は、現在の大気状態をもとにスーパーコンピューターで計算する数値予報モデルが基礎になっています。気象庁はモデルの改良や、人工衛星のマイクロ波放射計データの活用などを続けており、長い目で見ると予報の精度が上がっています。
2023年6月26日以降に発生した台風から、5日先の予報円(台風の中心が70%の確率で入る範囲)の半径を最大40%縮小して発表するようになりました。予報円が小さくなることで自治体の避難準備のタイミングが判断しやすくなり、住民が早めに動ける環境が整ってきています。
参考:気象庁「台風進路予報円及び暴風警戒域をより絞り込んで発表します」
②自治体が整備を進めるハザードマップと避難計画の体制
国土交通省は「ハザードマップポータルサイト」を通じて、洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域などの情報を地図上で確認できるサービスを提供しています。自宅周辺の浸水リスクや避難場所の位置は、ここで調べることが可能です。
また国土交通省は「流域治水プロジェクト」として、全国109の一級水系(主要な河川等のまとまり)すべてで治水対策の全体像を取りまとめています。堤防整備やダムの建設だけでなく、ダムの台風前放流や災害危険区域の土地利用規制をはじめとした取り組みで、流域全体で洪水を減らすことを目指しています。
③地域コミュニティで広がる早期避難と住民互助の仕組み
令和7年4月1日時点で、全国には167,722もの自主防災組織があります。町内会や自治会を単位として結成されることが多く、台風が接近した際に近所の高齢者や配慮が必要な方に声をかけて避難を促したり、避難所の運営を補助したりする役割を担っています。
内閣府は「地区防災計画」の普及も進めており、地域ごとに住民が自分たちの計画を作るための仕組みも整備中です。自治体が作る防災計画とは別に、もっと身近なレベルで「この地域では誰が誰に声をかけるか」まで決めておくことで、台風時の行動がスムーズになります。
また、避難が必要になった場合は、車で避難する際の注意点や安全な行動についても事前に確認しておくことが大切です。
参考:総務省消防庁
2.台風が来る前にやっておく屋外の台風対策

屋外の台風対策のポイントは「物が飛ばないようにする・固定する・室内に入れる」の3つです。
● 窓ガラスは補強か養生テープで、シャッターや雨戸があれば閉めて固定しておく
● ベランダの荷物・鉢植え・カーポートのパネルは室内へ移動か固定しておく。片付けが難しいものは紐で縛って重いものと組み合わせておく
● エアコンの室外機は固定バンドが緩んでいないかを確認しておく。倒れると故障するだけでなく、配管が壊れて冷媒ガス漏れのリスクがある
台風対策は「台風が来てから」では間に合いません。気象庁から「台風○号が○日後に接近」と情報が出た段階で動き始めましょう。以下で詳しく解説します。
①窓ガラスとシャッターは補強・固定して飛散リスクに備えておく
台風の強風では、飛んできた物が窓に当たってガラスが割れることがあります。割れたガラスが飛び散ると室内まで危険が及ぶため、あらかじめ割れにくくする・割れても飛び散らないよう対策しましょう。
シャッターや雨戸がある窓はこれを閉めて、ラッチや固定具をかけておきます。異常なガタつきがある場合は、設置を行った工務店・住宅メーカーに点検を依頼しましょう。
台風対策に備えて窓ガラスの具体的な補強方法や割れた場合の対処法は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
②雨戸やシャッターのない窓はガラスフィルムや養生テープで対処しておく
飛散防止フィルムは事前に窓ガラス全面に貼っておくフィルムです。ガラスが割れても破片がフィルムに張り付いて飛び散らないため、室内への被害を防げます。ホームセンターや通販で窓のサイズに合うフィルムを購入しておきましょう。
フィルムを貼りたくないなら養生テープをたくさん貼るのも選択肢。格子状・X字・米字など複数の方向に重ねるのがポイントです。ただし、養生テープには「ガラス自体の強度を上げる」効果はほとんどありません。あくまで「飛散防止」としてしか機能しないので、可能ならフィルムを貼りましょう。
台風対策向け養生テープの正しい貼り方や効果について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
③カーポートのパネルやベランダの荷物は取り外すか室内に移動しておく
カーポートの屋根パネルは軽いため、台風の強風で剥がれると広い範囲に飛ぶ可能性があります。台風前にパネルを外して保管しておくか、取り外しが難しい場合は補強テープで固定しておきましょう。
そのほか、台風対策でベランダで注意するものは以下のとおりです。
● 植木鉢・プランター:強風で倒れやすく、転落すると人に当たる危険がある。室内へ移動か重いものと束ねておく
● 物干し竿:強風で飛んでいく危険が最も高いもののひとつ。外して室内かベランダの床に置き、物干しのフックにしまっておく。物干し竿の安全な収納方法や風対策について詳しくはこちら。
● 自転車・ゴミ箱・簡易テント:ロープや鎖で固定するか建物内に移動する
ベランダ全体を一度見回して、「これが飛んだら怖い」と思うものをすべて片付けることを台風前のルーティンにしましょう。
台風に備えてベランダや庭・バルコニー全体の防風対策について詳しく知りたい方はこちら。
④庭の植木・野菜・鉢植えは固定か移動で飛散に備えておく
庭の大きな植木は支柱を立てて縄で結んでおきます。支柱がない場合は複数の方向からロープを張って地面のアンカーに固定してください。野菜も支柱を増やすか、収穫できるものは早めに収穫して取り込んでおくほうが安心です。
鉢植えは台風の風速が強い場合は、吹き飛んで屋外の車やガラス、隣人宅に飛んでいくリスクがあります。外に置いておくと危険なため、必ず室内へ入れましょう。
⑤エアコンの室外機は固定状態を確認して転倒・移動を防いでおく
エアコンの室外機は強風で横に転倒したり、架台からずれたりすることがあります。固定ボルトが緩んでいないか、架台や固定バンドが錆びていないかを事前に確認してください。転倒して配管が壊れると内部の冷媒ガスが漏れることがあり、修理費用も高くなります。
室外機が地面に設置されている場合は、台風用の固定バンドやアンカーボルトを追加しておくと安心です。
3.台風が来る前にやっておく屋内の台風対策

屋外の対策が終わったら、次は屋内の安全を確認しましょう。
● 玄関や窓まわりなど浸水しやすい場所はタオルや土のう・市販の止水グッズで水の入り口を塞いでおく
● 非常用持ち出し袋に食料・水・薬・充電器・現金・大事な書類のコピーをひとまとめにして、すぐ持ち出せる場所に置いておく
以下で詳しく解説します。
①浸水リスクのある場所にはタオルや土のうで対策をしておく
台風の大雨が原因で、玄関や掃き出し窓から水が入り込んでくる「浸水」が起きることがあります。「ハザードマップ」を見て浸水リスクが高い地域にお住まいの方はとくに、以下の対策をとっておいてください。
● 市販の止水板や土のう袋:玄関ドアや窓の外側に設置して水の流れ込みをブロックする。ホームセンターで購入可能
● 古いタオルや雑巾:費用をかけられない・準備ができない場合に。簡易的に隙間を塞ぐ
● 排水口の逆流防止:大雨のときは排水口から逆流することがある。市販されている蓋のついた逆流防止弁を取り付ければOK
土のうを事前に無料配布している自治体もあります。お住まいの市区町村のウェブサイトで確認してみてください。
②非常用持ち出し袋に食料・水・薬・大事な書類をまとめておく
非常用持ち出し袋は、避難のときにそのまま持って出られる状態にしておくことが大事です。中に入れておきたい物をまとめました。
● 食料・水:最低3日分。レトルトや缶詰など加熱不要で食べられるものを中心に
● 薬・お薬手帳のコピー:持病がある人は特に忘れずに
● モバイルバッテリー・ポータブル電源:スマホの充電が切れると情報が得られなくなるので必須
● 小銭含む現金:停電時は電子決済が使えないことがある。普段電子マネー・クレカ派の人は要注意
● 大事な書類のコピー:保険証・マイナンバーカード・通帳など
ただし重すぎると持ち出せなくなるため、男性なら15kg、女性なら10kg以下ほどの持ち運びやすい重さを目安にまとめておきましょう。
4.台風に備えた停電・断水への対策
台風による停電は数時間で復旧することもあれば、大型台風の場合には数日〜1週間以上続くこともあります。停電・断水への備えは「電気や水がなくても過ごせる手段を確保しておく」のが基本です。
● カセットコンロ:停電時でも火が使えて、加熱調理や湯沸かしができる。ガスボンベは3〜7本を目安に備蓄しておく
● 飲料水:1人1日3リットルを目安に、最低3日分をペットボトルで備蓄しておく。生活用水には浴槽への水張りがおすすめ
● ポータブル電源:停電時でも照明・スマートフォン・小型家電を動かし続けられる
備蓄を無駄なく長く続けるには、ローリングストック法がおすすめです。普段から使いながら使った分だけ補充していく方法で、気づかないうちに賞味期限が切れるという失敗を防げます。
①カセットコンロなど代替手段を用意しておく
停電するとIHクッキングヒーターは使えなくなります。カセットコンロがあれば電気に頼らず火が使えるため、料理・湯沸かし・温めに使えます。
ガスボンベの備蓄は3〜7本が目安です。封を開けていないボンベの賞味期限はおよそ7年ですが、使いかけのボンベは気付かないうちに中身が漏れることもあるため、封を開けたら早めに使い切ってください。
②断水に備えて飲料水を確保しておく
台風による断水は水道管の破損や停電による水道ポンプの停止で起きます。マンションや高層階では停電すると揚水ポンプが止まるため、より早く水が出なくなることがあります。
飲料水の備蓄は1人1日3リットルを目安に、最低3日分(1人あたり9リットル)を用意しておきましょう。台風が接近する前には浴槽に水を張っておくと、トイレを流す水や体を拭く水として使えます。
③ポータブル電源を用意しておく

ポータブル電源とは大容量のバッテリーを内蔵した、ACコンセントも使える持ち運び可能な蓄電池です。もし台風が原因で停電が起きても、以下のような家電を使い続けられます。
● 照明・LED式ランタン:夜間の安全確保に
● スマホ・タブレット・ルーター:ニュースや避難情報を受け取れる
● 扇風機・電気毛布:夏の熱中症対策・冬の低体温症対策ができる
● 冷蔵庫:食材がダメになるのを防ぎ、備蓄も無駄にしない
● 電気ケトル:お湯を沸かしてスープやカップラーメンが作れる
● 電子レンジ・ホットプレート:いつも通りに温かい食事を作れる
1台あるだけで安心感が段違いです。台風が来る前に満充電にしておき、停電時すぐ使える状態で保管しておきましょう。
また、その他停電時に本当に役立つ防災グッズや備えについては、「台風の停電対策に備えるべきグッズ10選」も参考にしてください。
5.台風の停電対策にはJackeryのポータブル電源を

ポータブル電源を選ぶなら、防災用途に強い「Jackery(ジャクリ)」がおすすめです。
● 防災製品等推奨品マーク取得:防災安全協会が防災用途への適合を確認した製品に付与するマークを全モデルが取得している
● 7年連続日本国内の販売台数・売上1位:多くのユーザーに防災用途で選ばれている
● 低自然放電:1年放置しても5%程度しか残量が減らないので、防災でしか使わなくても安心
● リン酸鉄リチウムイオン電池搭載:毎日使っても10年以上使える長寿命で長く安心して使える
●ソーラー充電対応:折り畳みソーラーパネルとセットで利用すれば、太陽光発電で繰り返し充電できるので、長期間の停電も安心
Jackeryは家族の人数や使いたい家電に応じた幅広いラインナップを揃えています。各製品ページには、使いたい家電の消費電力を入れるだけで稼働時間の目安がわかるシミュレーターもご用意。さっそく詳細をチェックしてみてください。
6.台風の対策に関するよくある質問
台風の対策に関するよくある質問と、その回答をまとめました。
①沖縄や九州など台風が多い地域でとくに注意すべき対策はある?
基本の台風対策は全国共通ですが、台風が多い地域では「慣れによる油断」で対策が甘くなりやすいです。毎年来るからといって今年も大丈夫とは限らないので、以下の点を念入りに確認しましょう。
● 窓ガラスの補強:飛散防止フィルムをあらかじめ貼っておく
● シャッターや雨戸の点検:使わない期間が長いと錆びて動かなくなることがあるので確認する
● 屋外の確認:毎シーズン前に屋外のものを固定する・中に入れる習慣をつけておく
台風情報が出たら早めに対策を始めるのが被害を減らすポイントです。
②マンション・アパート住まいの場合に戸建てと違う台風対策は必要?
戸建てと基本は同じですが、マンション・アパートは集合住宅ならではの台風対策が下記です。
● ベランダに荷物を置いたままにしない:飛ばないように台風前に必ず室内に取り込む
● 荷物の固定と窓の補強を行う:高層階ほど風が強いため念入り
● 飲料水を多めに備蓄しておく:マンションは停電時に揚水ポンプが止まって断水することがある
また、管理規約は台風シーズンが来る前に確認しておきましょう。台風をはじめとする災害が原因で設備が破損したときの責任がどちらにあるか、などが記載されていることがあります。万が一壊れたときに責任を負わなければいけない設備は重点的に対策してください。
マンション特有の台風対策については、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。
③カーポートの台風対策は?
カーポートは台風で屋根パネルが飛んだり、柱ごと倒壊したりすることがあるので、以下の台風対策をしてください。
● 屋根パネルを外して室内か車のトランクに保管する。外せない場合は補強テープで固定する
● 車はカーポートの下ではなく、倒れても当たらない場所に移動させる
● 柱や接合部に錆びやぐらつきがある場合は台風シーズン前に点検・修理する
カーポート近くの車は、台風の直前には必ず別の場所に移動させておきましょう。
カーポートの台風対策や屋根・柱の補強は、こちらで詳しく解説しています。
④家庭菜園の台風対策はどうする?
家庭菜園の台風対策は「収穫できるものは収穫する・固定できるものは固定する」の2点が基本です。
● 収穫できる状態に近いものは台風が来る前に収穫してしまう
● 背の高い野菜は追加の支柱でしっかり固定する
● ネットやマルチシートは端をしっかり固定しておく
菜園全体を台風前日に一度見回して、飛びそうなものをリストアップしながら確認しましょう。家庭菜園やビニールハウスの詳しい台風対策は、こちらの記事も参考にしてください。
⑤バスケットゴールも台風対策したほうがいい?
自立式のバスケットゴールは強風で倒れると隣家や通行人に当たる危険があるので、以下の対策をしましょう。
● 倒せるタイプは地面に寝かせてペグやロープで固定する
● 倒せないタイプは建物の壁際に寄せてロープで縛りつける
● 土台に水を入れて重くするタイプは台風前に満水にして重量を上げる
倒せるタイプは、先回りして倒しておくのがベストです。倒せない場合は、動かないようにしっかり固定しましょう。
⑥ビニールハウスの台風対策はどうする?
ビニールハウスはほぼ密閉の状態で隙間風が入ると、内側から風の圧力で骨格ごと壊れることがあるので、風が一切入り込まないように対策してください。
● ハウスバンドでフィルムの固定を強化する
● 少しでも破れのある箇所は補修テープで完全にふさぐ
● 骨組みや基礎の固定金具が緩んでいないか点検し、緩んでいたら締め直したり固定具を追加したりする
● 換気窓や出入り口の扉は内側からしっかりロックして強い風がそのまま入り込まないようにする
● ハウスの周りの少し離れた位置に防風ネットを設置する
作物を育てていない場合は、フィルムを取り外すか、裾を地面近くまでめくり上げてピンで固定し風を通り抜けやすくする方法をおすすめします。
また、防風ネットの台風対策効果や選び方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
⑦ウッドフェンスの台風対策を教えて。
壊れて隣家や通行人に危害が加わるのを防ぐためにも、ウッドフェンスは台風シーズン前に腐食・ひび割れ・根元のぐらつきがないか点検し、問題があれば補修または交換しましょう。もし支柱の根元が腐っている場合は、補強金具を追加するか専門業者に依頼してください。
⑧プランターの台風対策はどうすればいい?
プランターの台風対策は室内に取り込むか、動かせない場合はロープで固定してください。強風で飛ぶと人や車に当たる危険があります。また、台風後はプランターの排水口が詰まっていないか確認してください。
⑨車の台風対策でできることは?
車の台風対策は、駐車場所を変えるのが最大の対策です。
● 水没リスクのある地下駐車場の場合は地上の屋内駐車場に移す
● 街路樹の下・古い建物の近くなど倒木や看板が落ちやすい場所への駐車を避ける
● 河川沿いや低地・アンダーパスなど冠水しやすい場所への駐車を避ける
自宅のカーポートや庭に駐車している場合は、自転車や植木鉢など飛ぶ可能性のあるものを近くに置かないよう注意してください。
また、飛来物や冠水など、台風による車への被害事例や具体的な対策について詳しく知りたい方は、「台風が引き起こす車体被害とは?車を守るための台風対策や避難時の注意点」もあわせてご覧ください。
まとめ
台風の情報が出たら、屋外の片付けと窓の補強を早めに終わらせましょう。その後、玄関まわりの浸水対策や、食料・飲料水の備えも忘れずに。ポータブル電源をフル充電にして置いておけば、停電が数日続いてもいつものように生活できます。
どの対策も、台風が来てからでは間に合いません。台風シーズンが来る前にまとめて準備しておきましょう。台風対策をさらに詳しく知りたい方は、窓ガラス・停電・マンション・ベランダなど用途別の記事もぜひ参考にしてください。
